ビストロカンパーニュが出来るまでの道のり その3

  1993年4月1日のオープンまであと10日間。完成までもう少しです。 樹齢の高い松や杉の無垢材を床にして、いい感じのオフホワイトの漆喰で壁を塗り、これまたいい感じのヨーロッパのアンティークな古いレンガ。 旧国鉄に電話しまくって、やっとの思いで分けて頂いた天井の梁の部分の枕木。 フランスで買い付けたぶどうや野菜を摘む、藤のかご。 あらゆるところにパッションが詰まっています。決して流行に左右されず、ぶれずに独自の世界観を出したかったのです。自分の足で材料をさがし調達し、店のデッサンを書き上げ、工事中はタオルをはちまきにして、左官屋さんに壁の塗り方を教わったり、大工の職人さんと天井に登り、枕木を吊るしたりしました。 自分でも出来る事はやり、お店作りに参加して魂を移すという意識があるからこそ、18年たった今でもカンパーニュを愛してやみません。料理だけ作るシェフというよりは、プロデュース的な事が向いているかもしれません。いずれにせよ、料理も雰囲気作りも同じウエイトで考えています。 『名は体を表す。』 『ビストロ カンパーニュ』 この屋号はずっと前からしたためていた、というよりは直感で決めました。 て言うかこれしか思いあたらなかったのです。屋号を決めるというのは、生まれてきた自分の子供に名前をつけるようなものです。 幾度となくフランスを訪れ、パリはもちろんの事、各地方の田舎の町並み、郷土料理に魅了され、通いつめたブルゴーニュ地方のボーヌのビストロ、そこをモデルとしました。 ミシュランのガイドブックに出てくる様な店とはほど遠く、地元の人達が普段着で肩ひじ張らず、ボーヌの地酒とともにパテやハム、エスカルゴ、コック オゥ ヴァンといった料理を楽しんでいます。又、人気者の巨漢シェフ、美人マダムと話しをしたくてみなさんウズウズしています。 ご近所にあったらありがたい、こんなお店をやってみたい、こんなお店をやる。そう決めました。東京にはまだまだそういったビストロがなかったのです。 ビストロ カンパーニュは自分自身が、ご近所にあったら通いたいビストロそのものなのです。                                                続く

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