ビストロカンパーニュができるまでの道のり その1

  1993年 2月 とある寒い日。 金融機関「国民生活金融公庫」から一通の通知が届きました。 封を開けるのに手の震えが止まりません。ビストロカンパーニュを立ち上げるためにお願いしていた融資が全額おりたのです。あれほど融資の通知を心待ちにしていたのに、いざ現実化してくると急に心境は複雑になり、もう夢の世界ではありません。とんでもなくドデカイ事を始めようとしているのではないかと期待と恐怖でいぱいです。 ただもうすでに乗りかけた舟、もう後戻りはできません。とりあえずすぐにお世話になっている方々に融資がおりた事を連絡しました。 少しずつですが自分も動けるところは動き、外堀は埋めていきました。 料理学校在学中、夜は神田淡路町フランス料理「ブラッセリーりゅう」さんで独立するまでという条件で働くことになりました。こちらが勉強させて頂く立場なので給料はいりませんと申し出ましたが、1ヵ月後、10万近くだとは思いますが給料を頂ける様になりました。ありがたい話しです。 フランスで修行された料理人の方々がたくさんおりまして、三崎港からあがる魚が直送され、お客様が好きな魚を選び、シェフと話しながら調理法やソースを決めていくというやり方。前菜から、メインにいたるまで魚づくしです。技術がなければ出来る技ではありません。カジュアルで肩ひじはらず値付けもかなりリーズナブルだったと思います。毎日がとても忙しく、連日連夜、満席状態。 「日本人て、お魚がとっても好きなんですね。」 フランス料理、特にビストロって肉料理のイメージがとっても強いと思いますが、実は魚料理もとても旨いんです。食べやすいように、三枚におろしてあげて骨まで抜いて、みずっぽさも抜きます。至れり尽くせりです。ロワールのナント地区の代表的なソース、ブールブランでいただきます。ブールがバターでブランが白です。白いバターソースです。これにフランス産エシャロット、ミュスカデの白ワイン、白ワインヴィネガーをつめたものをバターでつなぎます。 そう言えば、以前みた映画「ジュリー&ジュリア」1950年代にパリのコルドンブルーに通うジュリアに扮するメリルストリープがしきりに言っていました。 「バターは最高。ブールブランソースは魔法のようだ。」と。                    ちなみにここカンパーニュでもオープンしてから18年間頑なにブールブラン作り続けています。                                          続く             

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