あらたな夢に向かって一歩前進 その1

  1月12日火曜日、晴れ。 朝起きてすぐに浅草税務署、都税事務所、蔵前の信用金庫、台東区役所。 書類を作成するために駆けずり回った。あまりの寒さでちょいとひるんだが、何度も往復してるうちに約18年前、ビストロカンパーニュを立ち上げた時の事をふと思い出した。 なんせ同じ日に新宿の都庁に作成した書類を持って三回も往復して足を運び、それでもサインしてくれない。ちょうど自分が29歳の1月の事である。 国の管轄なので当然と言えばそれまでだが、最後はやけくそになって缶酎ハイを買い、都庁の展望台に上がり、東京新宿の夜景を一望した。「わぁ~、すげぇ~。」 こんな東京のどでかいモンスター級の街で名もないしょぼい料理人がビストロをやりたがっている。ただ頭の固い官庁のおっさんがなかなか書類にサインをしてくれない。だがここでつまづいていては一歩も前に進めない。缶酎ハイを飲みながら途方に暮れていた。 けちょんけちょんに言われて頭に血が上りそうになったがここで喧嘩をしたら元もこうもなくなる。何も知らない、学歴も教養もなく人生経験の浅いイケイケで生意気な29歳の若僧なので知らなくて当たり前だと、自分に言い聞かせた。 それと同時に新宿のネオンが、自分を奮い立たせてくれたのも事実だ。 未だに東京の夜景が大好きで、行き詰まった時とか壁に出くわしたとき、むしょうに夜景が見たくなり、あの頃を思い出しもう一度自分を奮い立たせる。 しょっぱなから出鼻をくじかれたが、次の日に再度書類を作成し直し、2回目でやっとサインをしてくれた。ここからが本当の意味でのスタートだ。 この経験によって日本の金融機関の仕組みがほんの少しずつ理解ができるようになり、誰も経験した事のないような事が少しずつ分かってきて自力で会社も起こせるまできた。

       続く

 

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